電子バーコード E-BarCode

既存のバーコード

 

バーコードは右の図にあるような、黒と白の縦に長いバーの組み合わせで描かれていて、バーコードスキャナーはその黒と白のバーに赤色光源を照射し、反射して戻ってくる光のコントラスト比を読み取って数値化し、データを複合化する仕組みとなっています。

 

 

 上の図のバーコードの一部を拡大すると、左図の様に黒と白のバーの組み合わせである事が分かるが、これまでのバーコードはこの黒と白のバーを紙の上に印刷する事を前提に考えられており、紙の上に印刷されたこの黒と白の濃淡比(コントラスト比)を認識する事により、このバーを情報としての意味を持つデーターとして取り扱えるような仕組みとなっています。

 

 この、黒と白のバーは、太さや長さ、或は、黒の色、白の色など、神経質なほどにその要素が正確である事を要求されています。

 

 例えば、指定されている黒のバーの幅が、規定より0.1mm程度の誤差が生じたり、白のバーに少しでも他の色が混在すると、バーコードスキャナーの照射した赤色光の戻り値のコントラスト比に違いが生じてくる為、正確なデーターを複合できなくなる恐れがあります。

その為、黒と白のバーを描く場合、仔細に指定された要件を厳密に守る必要があるのです。

 

 

 

電子バーコードに移行する時に生じる課題

 

液晶には白が存在しない問題

 

 これまでのバーコードは紙に印刷される事を前提に技術が積重ねられ、安定した稼働が保証されてきましたが、液晶画面にバーコード描画すると大きな問題が見えてきました。

 

それは、左の図に示す様に液晶画面の白のバーが表示されている箇所の一部を拡大してみた場合、印刷で描画されている様白色は存在せず、「赤」「緑」「青」の液晶が全て点灯した状態になっており、それを人の目を通して見ると「白」に見えるのです。

すなわち、液晶画面には白」と言う色が存在せず、「赤」「緑」「青」の色が全て発光しているのです。

 

 一方で、黒の部分は、「赤」「緑」「青」全ての液晶が消灯していて、この状態を人の目を通して見ると「黒」に見えるのです。

最も、消灯の画面上の液晶部品の本来の色が、光を吸収するタイプの色であれば「黒」といえるのかもしれませんが、白は・・どうやっても存在するとは言えないですね・・・・・。

 

つまり、紙に印刷される「黒」と言う色味と「白」と言う色味と同等に光を反射或は吸収する色は、液晶の中では厳密には存在しないという事になります。

 

それにより、バーコードスキャナーは、液晶画面には存在しない「黒色」と「白色」の反射光のコントラスト比を懸命に捉えようとしますが、紙と異なり「正確な反射光のコントラスト比の期待値を得る事が出来ない」という物理的な問題に直面するわけです。

 

これは致命的な課題となりました。

 

このままでは、液晶画面に表示されるバーコードでは(これまでのバーコードスキャナーの読取方式を用いた場合)、そのバーコードが持っているデーターを、意味のあるデーターとして正確に複合化できない事態が生じるので、安定した情報処理手段として全く役に立たない事になります。


 

 

 

液晶に表示されるバーコードを読み取る為には


さて、この様にバーコードを紙から液晶へと移行する場合、致命的な問題が生じる事が分かってきましたが、このままでは電子バーコードに未来はありません。

どうすれば、紙と同じ様に正確にバーコードを読み取ってそのデーターを複合化する事が可能となるのでしょうか。

 

 

バーコードスキャナーの改良

 

 これまでのバーコードスキャナーで電子バーコードを読み取る時に、紙に印刷されたバーコードと異なり、電子バーコーの場合、黒と白のコントラスト比が正確に読み取れないことから、DENSO社によりバーコード読み取り装置(バーコードスキャナー・バーコードリーダー)そのものの改良が施されてきました。

 

 改善方法として、RGBの全て発色した状態のコントラスト比が、紙に印字されたバーコードの白色と比較して、コントラストの数値の戻り値が「印字の黒」の戻り値に近いエラーが起こる事を重要視し、この数値のエラーを、読み取り装置であるバーコードスキャナーのCPUの中で補正し、白のデーターとして強制的に書き換える様に改良が施されました。

 これにより、液晶の画面に電子的に表示される13桁のショートバーコード(JAN13)などが、かなりの確率で読み取れる事ができる様になりました。

 

 これまで全く読み取る事ができなかった電子バーコードが、このバーコードスキャナーのお陰で初めて読み取る事ができるようになったのは実に画期的な事でした。

 

 

 

 

 

それでも読み取れない電子バーコード

 

 この様にバーコードスキャナー装置の改良が施され、全ての電子バーコードが読み取れる様になると期待が高まったのですが、現実はそう簡単には解決しませんでした。

 

 各電話キャリアから発売される携帯電話の機種によっては、表示される電子バーコードが全く読み取れなかったり、バーコードの桁数が増えると読み取れなかったりと、様々な現象が確認されました。

 

これは各携帯電話の液晶画面がハードウェア機能がにそれぞれ異なっており、ppiの高精細度もバラバラであり、1ピクセル当たりの大きさもバラバラである事などに大きな理由となっていましたが、同じメーカーの同じ機種の液晶画面上に表示される同じ桁の電子バーコードが、不規則に読めたり読めなかったりする事が確認されたのです。

 

 この問題の「答」は長い間解決されませんでした。

 

 

 

 

 

ついに読み取り確率の高い電子バーコードを発明

 発明人「松原高司」は、これまでのバーコード読み取り装置の改良と、液晶表示装置ppiのきめ細かさに頼って、読み取り率を向上させてきた考え方では、高読み取り率の電子バーコードを、世の中に生み出す事はできないとの結論に至り、全く違う観点からこれらの課題を解決する手法に挑みました。

 

 

 

 様々な試行錯誤の中、ついに読み取りエラーのおきるバーコードにはある特殊な法則が潜んでいる事を発見しました。

この特殊な法則により表示されるバーコードは、どんな高精細度の液晶画面で表示されてもエラーが起きている事を実験によって現認し、その解決策を盛り込んで電子バーコードを生成する手法を確立しました。

 

その結果、バーコードのショート・ロングの桁数に関係なく液晶画面に表示される電子バーコードが、ほぼ99%(筆者調べ)の確率で読み取れる様になりました。

残りの1%の読み取り不能は、液晶画面のひび割れや、充電低下による液晶画面の照度不足などによるものでした。

 

この様にして実務運用上に耐え得るバーコードの生成が初めて可能となり、世に誕生したのが電子バーコードでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電子バーコードの本格的活用

この様の背景を通して生み出されたきた電子バーコードが、ついに日の目を見る事となり 2016年8月31日の記者会見で、NEC社・SMBC社との合弁会社であるブリースコーポレーション社にて、「電子バーコードを用いたペーパー不要のコンビニ払い」サービスが発表されました。

 

日経新聞では記者会見より2日早く(2016年8月29日「月曜日」)この内容がスクープされ右のような記事になりました。

 

 

 

これは「料金収納」という、非常に重要な決済シーンで用いられる電子バーコードであり、読み取り不能や、複合化エラーなどが決して許されない「社会インフラ上」で、初めて本格的に利用される電子バーコードの実用例となりました。

 

 

 この様に発明人「松原高司」が起案し、長い長い年月にわたって取り組んできたこの電子バーコードに費やした日数は実に5年有余となっており、電子バーコードに関する特許認定を受けてから、すでに2年以上の月日が経過していました。